洗足池商店街に入り、大きな一筋目の通りを左に曲がると洗足郵便局。
その2件隣が中華料理萬福飯店です。キュートな看板が目印。
開店から36年、ずっと洗足池の味として愛されてきた町中華の老舗。
店の味を守ってきたのが、店の店主であり、料理長の宮川努さんとマダムの真貴子さんです。
今回は、お二人のラヴストリーからストリーが始めましょう。
努さんと真貴子さんは、お二人とも新潟県中魚沼郡津南町出身で、同級生でご近所。セーラ服や学生服姿からのお付き合い。半世紀も共に、歩み続けています。
今から40年前にそれぞれ別の夢を抱き、いざ東京へ。
努さんは、調理時学校に通い、2023年3月11日に急逝された四川料理の巨匠、陳建一さんの父親陳建民さんに指導を受けました。
陳建民さんは、長江の上流の奥地で生まれ育ち、中国全土、台湾、香港を経て1952年に来日、恵比寿に料理学校を創立。15000人以上の中華の達人を輩出されました。
その一人が努さんでした。調理師学校に通いながら、雪が谷大塚の萬福飯店で16年間修業されまました。その後、のれん分けとして迷うことなく「萬福飯店」として洗足池商店街に店を構えました。
師匠である建民さんも、妻である洋子さんと共に四川飯店をオープンし、日本各地に四川料理を広めていかれた中華のレジェンド。
インタビューとしながら、ふと、陳建民ご夫妻の道のりと努さん夫妻は似ているように感じました。
お二人の出身地、津南町は、豪雪地帯として有名で、雪に閉ざされる地域は、自ずと町民が助け合い、そして深い絆があります。
今でも、津南町出身の方が店に通い、自宅へも泊まりに来るほどの付き合いがずっと続いているそうです。素敵ですね。
津南町の名物のトマトジュースとビールで割るドリンクは定番メニューとなっています。
真貴子さんも「故郷のいいものを紹介したい」と故郷を常に心に描いて仕事をされています。
調理場で働くスタッフ樋口さんもなんと津南町出身の同級生なんです。
努さんが最も、こだわったのは店の内装でした。堅苦しい中華料理店ではなく、
「喫茶店のような雰囲気にして、気軽に入りやすい店にして欲しい」と工務店に依頼しました。
喫茶店と言ってもチープなイメージではありません。椅子ひとつ取っても、座りやすさ、木の温もりのあるヴィンテージもの。内装には、かなりの金額がかかったそうです。
いいものは飽きることがありません。なんと、36年間、内装は一度も改装されていないそうです。
黒光りした木製の床や椅子の取手にも、お二人の苦労と夢がいっぱい詰まっていることでしょう。
萬福飯店の人気メニューを真貴子さんにお尋ねしました。
1位焼きそばです。両面焼きであんかけのタイプ
2位まんぷく麺。野菜がいっぱい入っていて醤油味、ボリューム満点。
3位タンタン麺。ピリ辛の胡麻だれがたまりません。
萬福はメニューがとても豊富です。取材前に数えてみたら113品でした。セットメニュー入れると150品を超えそうですね。
歴史ある萬福は、常連さんも多く、引っ越されても、わざわざ訪ねて来られるそうです。
その魅了の理由は?そのひとつが常連さんならではのオーダーの方法です。
チャーシューは通常5枚、でも、色々食べたい場合、3枚頼んでもOK!焼売も春巻きも食べたい数を頼むことができます。知りませんでした〜〜。
さらに、店のメニューテイクアウト全品可能。しかも、餃子は焼く、焼かないも選べるそうです。
そんなこと、店内に書いてないのですが・・・・。
どうでしょう、36年の萬福の愛される理由がわかった気がしませんか?
これからもチーム津南町でずっとこの街で四川料理を食べさせてくださることを願いながら、今回のレポート終わりにします。
文・タカコナカムラ