洗足池でShall we dance? おやまダンススタジオ

洗足池駅改札を出てすぐのビルの2階が「おやまダンススタジオ」です。ネオンを下から見上げ、中の様子、気になって仕方がありませんでした。
扉を開けると、広々としたがダンススタジオが広がります。
下から見上げるより、うんと広いスタジオでは、取材中も、ベテランの生徒さんと小山比呂志先生がレッスン中で、思わずうっとり見惚れてしまいました。

おやまダンススタジオは、代表の小山輝子さん(71歳)と長男の比呂志さんと妻の美央さんの家族で運営されています。
宮城県登米市出身の輝子さん、20歳の時、日本電気(NEC)に入社、花のOL時代を夢見て、上京されました。
日本の社交ダンスは、明治の「鹿鳴館」に始まり、西洋の文化を積極的に取り入れようとし、
本格的に庶民が社交ダンスを楽しむようになったのは、第2次世界大戦後でした。
アメリカ軍の進駐軍の遊ぶ場所としてダンスホールが都内に次々に建てられ、平和が約束され、日本人にも出会いの場として爆発的なブームになっていきました。
輝子さんも、仕事が終わるとダンスホールに向かい、社交ダンスの華やかさに魅了され
会社のダンスサークルに入会しました。
ダンスのパートナーから人生のパートナーとなった夫の岩雄さんは、社交ダンスの先輩で、サークルを通じて指導を受けるようになり、めでたくゴールイン。
その頃、社交ダンスに虜になった小山夫妻は、「プロ」を目指すようになりました。
「どうせやるなら、プロになり、指導者になりたいと思いました」
こうして、輝子さんは、都内のダンススタジオで厳しいレッスンを受け、指導者の資格を得ました。
その頃、二人で独立を考え、洗足池商店街の今のスタジオに巡り合いました。
見つけてくださったのは、鈴木土地建物の鈴木さんらしいですよ。
輝子さんは3人の男の子のお母さん。門前の小僧さんなのでしょうか、小さい時から、レッスンや競技会にも連れていく機会が一番多かったのが長男の比呂志さん。
比呂志さん、高校卒業すると、自然とダンスの道を目指すようになりました。
プロダンサーとなり、選んだ結婚相手は、プロとしてともに踊る美央さん。
私は、思わず「社交ダンスでは、組んだ相手との結婚率が高いのですか?」
美央さんは「一緒にいる時間が長いので、そういう方は多いかも」
長身で、ペアでダンスをする姿は、誰もがうっとりするほど。
パートナー同士でお互いを思いやる心は、密着度の高い社交ダンスでは重要なポイントだと感じました。
社交ダンスは、大きく分けると2種類で、「スタンダード」と「ラテン」に分かれます。
スタンダードは、男女が近接し、腕を組み踊るのが特徴で、ワルツ、タンゴ、ベニーズワルツ、スローフォックストロット、クイックステップの5種類。
ラテンは、カップルが向かい合って離れたり、近づいたりして動きも速いのが特徴です。
チャチャチャ、サンバ、ルンバ、パソドブレ、ジャイブの5種類です。
輝子さんの得意は、優雅に踊るブルースやタンゴだったそうです。

私は、ラテンが好きで、ルンバやジャイブが踊れる人は尊敬してしまいます。
輝子さんは、腰痛や膝関節の痛みなど全くありません。
声のクリアでとてもテンポが良く、立ち姿の姿勢も見事です。
「腰が痛い時もありますよ、でも、社交ダンスをすることで全身を動かすので、
リハビリになりますね。痛い所も消えてしまいます」
レッスン中の生徒さんは10年のベテランで、やはり、姿勢が良く、若々しく感じました。
「40代の女性が多いですが、最高齢は88歳の現役生徒さん。社交ダンスは長く楽しめるのも魅力ですね」輝子さん、もちろん、今でも現役のダンサーです。
輝子さんが社交ダンスを選んだ理由のひとつは、その華麗さだけではなく、「スポーツの要素」だったそうです。
今でこそ、テニス、ゴルフ、サーフィンと多くのスポーツから選ぶことができますが、昭和の時代には、社交ダンスはスポーツとして若い女性に受け入れられていたのでしょう。

おやまダンススタジオでは、グループレッスンとプライベートレッスンを自由に選ぶことができます。割引になるダンスチケットを購入したり、都度ごとに現金で支払ったり、ご都合に合わせて無理なくレッスン可能。
モデルさんのようなウォーキングや美しい立ち姿を学んだり、相手との組み方、ポーズ、ステップなどを学んだり、ご希望に合わせた内容で踊れます。
好きな種目から学びたいという方も少なくないそうです。
社交ダンスは、メイクや衣装も習いたいきっかけに繋がります。
競技会に出なくても、スタジオ内やホテルでの発表会やダンスパーティーも企画されています。
人前で踊ることは、良い緊張感があり、レッスンにも力が入りそうですね。
社交ダンスは堅苦しいものではなく、スポーツの一つであり、年齢に関係なく始めることができます。全身の筋肉とリズム感を鍛え、かつ、美しく踊りたいという願望もメラメラ湧くはずです。
皆さんも、下からおやまダンススタジオのサインを見上げているのではなく、勇気出して、扉を開けてみましょう。
3人のプロのダンサーの元気なパワーが満ち満ちて、スタジオにいるだけで気分爽快。
取材帰りは、気づくとスキップしていました。
商店街の盆踊り、来年は社交ダンスをみんなでShall we dance?


                      文・タカコナカムラ

おやまダンススタジオ
〒145-0064 東京都大田区上池台2−32−3
 第2ミスズビル2F
http://www.oyamadance.com/