ちょっと幸せを味わうCafe634

洗足池駅から徒歩すぐに、立ち寄りたくなり、気持ち良い空間の店が目に入ります。
暖簾がかかる「Cafe634」です。
木製の引き戸を開け、店内に入ると、焼き菓子の並ぶ木製ショーケース、自家焙煎のコーヒー豆、そして産地直送の野菜が並んでいます。
カウンターの向こう側から登場されたのがオーナー&料理人の児玉健太朗さんです。

中学の社会の先生

健太朗さんは、異色の経歴の持ち主。大学卒業後は、中学の社会科の先生でした。
東銀座で印刷屋を営む父親が他界され、後を継ぐことになり、勤め人としての人生が始まりました。
「大学時代から飲食店でバイトをしたり、料理は好きでしたね」
バイト先で知り合ったのが、妻の裕美さん。今でも毎日、二人で厨房に立っています。
人生の2回目の転機がやってきます。慣れない家業の印刷屋を閉めることに、さて何をやっていこうかと岐路に立つ二人。
歌舞伎座の裏筋の印刷屋を改装し、2004年小さな「Café634」を夫婦で始めました。
店名の「634」の由来、気になりますよね?
「バイト時代から、日焼けして、今よりもっと太っていて、お相撲さんの武蔵丸に
似てたんですよ。“武藏”って呼ばれてました」
「武藏だと、ラーメン屋っぽいから、634としました」
今の健太朗さんの風貌からは想像できないですね。

3回目の転機が洗足池

東銀座は、オフィス街で、ランチを中心の人気店に。しかし、大森に住み、子育てをする二人にとって、住宅地で自宅から近い場所に店を構えたい夢が広がってきました。
2018年、ついに、念願の店舗発見。それが洗足池商店街のCafé 634でした。
住宅地の店なので、平日は、8割は近隣の方がお客様。ランチだけではなく、弁当やお菓子、コーヒーなどの飲み物にも力を入れるようになりました。
中学生の男の子を持つ健太朗さんと裕美さんは、常連客の集う店をいつもと違う楽しみ方、家族で楽しむことができないだろうかと次第に考えるようになりました。
そこで思いついたのが、トランペット演奏者の裕美さんの弟さんのライヴでした。
友人に声をかけ、Café634がライヴハウスになることもあります。
落語家を招いての落語を楽しむ会にもチャレンジ。
小さなイベントは、少しづつ広がり、昨年夏には、「AHA !!KIDS!!」という商店街の枠を超えての子供たちに向けた夏休み体験イベントを開催。
昨年から洗足池駅横のスペースで「ほとり市場」を運営。商店街の若い人たちに声をかけマルシェの開催もスタート。
洗足池商店街をもっと楽しく、地域の皆さんが集る場をさまざまな形で展開しようとしています。

Café 634のこだわり

Cafe634の人気メニューは定番の生姜焼きプレートと日替わりのプレート。
「食材は、千葉の農家から送られてきます。完全オーガニックとかにこだわっているわけではないですが、自分たちが日々、安心して食べているものを使いたいですね」
健太朗さんは、早朝から閉店まで、料理も焼き菓子も担当されています。裕美さんは、家事を終え、時差出勤、もっぱら接客係です。
店内のボードにはお二人の気持ちが込められたメッセージが書かれています。
それが、ふわっとしていい感じです。

〜 日常にちょっとした幸せを 〜
Cafe634は
街の珈琲屋で
食堂で
おやつ屋で
そんな店でありたいと思います

1日ランチ50食

健太朗さんは、毎日、日替わりメニューと弁当をInstagramに告知しています。
日替わり弁当は1日15食限定。電話でのみ受注です。
作り手のわかる素材で、全て健太朗さん手作り。
コーヒー豆は、2階の焙煎室で生豆から焙煎され5種類が店頭に並んでいます。
これって、飲食店では当たり前のことなのかも知れません。でも、合成色素や保存料、発色剤を使った加工食品が普通に並ぶ今、当たり前を続けることは大変なことです。
大きな声で叫ぶのではなく、自然体で、食べた時に、ふっと幸せな気持ちになるCafé634です。
取材の日も、のんびり、お茶を楽しむお客さん、なんだか幸せそう!
新しい世代が集う洗足池商店街の進化、楽しみですね〜。

                          取材・文 タカコナカムラ

Café 634

住所 東京都大田区上池台2−31−11
電話 03−3727−6368
HP http://www.cafe634.net
定休日 日・月曜日
営業時間 火   11:00〜16:00

     水〜金 11:00〜18:00  
     土   9:00〜18:00