洗足池駅前の岩崎ビルの2F「Café SANTINO」は地元の人が通う店です。
さて、どんなヒストリーがあるのでしょうか。
店に入ると、中原街道の向こう側に洗足池が広がる絶好のビュースポット。
1983年東京ディズニーランドが開園。同じ年に、「Café SANTINO」も開店しました。この年は、大韓航空機撃沈事件、ロッキード事件で田中角栄元首相に実刑判決。三宅島が大噴火をした年でもありました。
「SANTINO」本店を守っていたのはオーナーシェフの阿山定男さんの実姉でした。日吉、菊名、洗足池と3店舗にのれん分けされました。
実姉の店で働きながら、独立の夢を持ち、店舗を探している際、縁があり見つけたのが洗足池の店舗でした。定男さんは「池と桜がキレイだったから、ここに決めたんだ」
スパゲティーをメインとするカフェをスタートしました。定男さんは、大田区多摩川近くに住み、洗足池に通う日々が始まりました。
シェフは定男さん、サービスは奥様の秀子さん。愛嬌のある秀子さんと話すことを楽しみに通う常連客も増えていきました。
息子の和浩さんは調理時学校へ進み、25歳フレンチレストランで修行したもの、父親と一緒に厨房に立つことを選びました。
「人手不足だったしね」すでに、15年前から店の手伝いをしていた和浩さんは、迷わず、親子2人で店を切り盛りすることになりました。
そして3年前、定男さんの体調不良をきっかけとして、オーナーシェフのバトンが息子の和浩さんに繋がれていきました。
ちょうど3年前に、洗足池商店街のホームページ制作にあたり、店の撮影と取材に伺ったことを思い出しました。
真っ白のコックコートとコック帽をきちんと着用され厨房に立っておられました。
今どき、Tシャツとサロンエプロンの料理人も多い中、オーラと料理人としてのプライドを感じ、ちょっと話しかけにくい印象を持ってしまいました。
今回の取材では、和浩さんが電話で定男さんと繋いでくださり、創業当時のことなど楽しそう話してくださいました。
SANTINOの看板メニューは「スープスパゲティ」です。創業当時は、非常に珍しかったと思われます。定男さんは、料理を修行した経験はなく、独学で本店の味を基本に、自分の舌と経験で店の味を作っていきました。
そのスパゲティーのこだわりは、全て「生パスタ」を使っている点です。デュラムセモリナ粉と塩だけで作る生パスタは、創業から全く変えず、40年間、同じ千葉県柏市の製麺所から取り寄せています。お客さまの要望で、和風スパゲティーやカルボナーラ、トマトベースのスパゲティーも40種類以上あります。
一番人気は、「茄子とベーコンスパゲティー」です。
とにかく、ベーコンの厚さと多さが圧巻。たっぷりのトマトソースに粉チーズをかけていただくと、ボリニューム満点。
取材中、女性のお客様が入店され、「サラダと茄子ベーコンね」と窓際のカウンター席に座られました。間違いなく常連のお客様だとわかり、声をかけてみました。
「15年位、通っています!ここのスパゲティーの味はここしか味わえないの。だから無性に食べたくなるんですよ」「ドレッシングも自家製でとても美味しいですよ」
近所の人は、引越しや結婚で、この地を離れると「SANTINO」の味が懐かしくなるそうです。「帰省すると絶対に食べます」と言う声もよく耳にします。
お客さまの大半が地元のリピーターと言うのも、わかる気がしました。
「SAN TINO」には、レシピ表やマニュアルはほとんどありません。しかも、定男さんは息子の和浩さんにレシピを教えることはありませんでした。
「見て覚えろ」「食って覚えろ」と言う昔ながらの父の教えを和浩さんは忠実に引き継いでいます。「他のスタッフが作るスパゲティーとりは、味が違うって」
やはり、お父さんの作り出したSANTINOの味は和浩さんが確実に継承されていますね。
和浩さんに今後の展望を聞いてみました。
「フレンチの要素を取り入れようとしたり、新しいものをやった時もあったけど、定着しないし、うまくいかない」
「やはり長年やってきている父は凄いと思いますね」
「変えない方がいい味もある。父の味、SANTINOの味を守っていく方がいいと思う」
常連のお客様が通いたくなる、懐かしい故郷の味と感じる生パスタで作るスパゲティーの秘密がわかったような気がしました。
中原街道の行き交う人や洗足池を眺めながら、ひとり、スパゲティーを頬張る。なんて、贅沢な時間でしょう。
洗足池のソウルフード、SANTINOのスープスパゲティーいかがでしょうか?
和浩さんの作る日替わりのケーキも人気です!
カフェ サンティノ 洗足池店
住所 〒145-0064
大田区上池台2-30-1 岩崎ビル2F
電話 03-3728-5188
営業時間 11:00~22:00 (ラストオーダー21:00)
定休日 毎週木曜日、年末年始